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二つ返事で「イエス」と答えたいところだが、
相手は眞辺のデザインを希望している。
今受けている仕事は確実に納品しなければならないので、
いくら相手が大手でも、それを犠牲にして飛びつくわけにはいかないのだ。
それに、大手なだけにうちのような小さな事務所には無理難題を押し付けてくるかもしれない。
短納期でボリュームのある仕事、おまけに予算が絞られているかもしれない。
……いや。
倉田さんの声を聞いている限り、そんな雰囲気は絶対にない。
私は一人、首を振った。
とにかく、詳細を待とう。
「では、詳細をお待ちしています」
私が言うと、彼は再びあの間を持たせ、最後に眞辺の名前に触れた。
『デザイナーの眞辺さんにもよろしくお伝えください』と。
そして、私たちは電話を終えた。
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