一日の終わりと始まりの予感

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オフィス街に繰り出すビジネスマンたちの波に逆らい、混雑を通り過ぎた電車に乗り込んだ。 線路の上を行く小刻みな揺れは間違いなく眠気を誘う。 私はドア付近のバーに寄りかかり、眠らないように六分間耐え忍んだ。 鶴舞駅に到着して地上に出ると、朝日が先程よりも濃くなっていた。 目の前に広がる広大な鶴舞公園は緑が多く、年中丁寧に整備されている。 度々イベントも開催されて大勢の人が集まるが、普段はのどかな場所で、今も目の前を一組の老夫婦がウォーキングしながら通り過ぎたところだった。 「元気だな……」 老夫婦の背中を振り返りながら自分の運動不足が不安になった。 しばらく腿(モモ)を上げながら歩行してみるもののすぐにバテて普通になった。
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