一日の終わりと始まりの予感

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そのうちに、毎晩楽しみにしていた夕食も、夜遅く帰って食卓に用意された一人分の食事を見るのが辛くなった。 自分で温めると言うが母は自分がやるといい、私は席で食事が整うのを待っている。 専業主婦の母は家事を完璧にしないと気が済まない。 私とは正反対の性格だ。 『美尋、お父さんとも話したんだけど、やっぱり仕事、変えた方がいいと思うの。お父さんの知り合いでいい仕事、紹介してくれる人がいてね……』 私が一人暮らしを決意したのはその時だった。 父も母も反対したが、それを押し切るかたちで私は名古屋での一人暮らしを始めた。
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