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「早速一歩前進じゃない?」
私は思わず笑顔で振り返る。
「……先は長いけどな」
眞辺小さなため息をついて言うが私の気持ちは明るいままだった。
「最初の一歩が肝心なんじゃない。一歩踏み出せば、後はこっちのものよ」
私の脚は今にもスキップを始めそうだ。
そんな私に、眞辺は再び「最初の一歩ね……」と、何やら考え込みながら呟いた。
この後、
二日間徹夜作業だった眞辺は私が説得して直帰することになった。
眞辺と別れ、一人仕事場に戻る中、まだ残っている仕事の量を思うと気分が軽いとは言えなかったが、それでも足取りは重くなかった。
今回の案件が思った以上に大変であることは認識したが、私には眞辺なら大丈夫だという確信もあった。
「やっぱり……頼りになるのよね」
私は夜空に向かって囁いていた。
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