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席に戻って少しも経たないうちに船越さんに大声で呼ばれる。
「杉浦っ! 倉田さんだ」
早速連絡がついたようで、船越さんは受話器を高く持ち上げた。
「具体的な打ち合わせ、進めてくれ」
「あ、は、はい!」
内線コールの掛かる中、受話器を取ろうとすると、眞辺と目が合った。
私は眞辺には無言のままで受話器を手にした。
「お電話代わりました、杉浦です」
『倉田です。いいお返事がいただけて嬉しいです』
この人の声はゆったりとして穏やかであるのに、どうして私の鼓動は早まるのだろう。
やはり緊張のせいだろうか。
思わず左手を胸に当てた。
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