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私が言うと、彼は納得したのか「ふーん」と、鼻を鳴らした。
「今日、早速打ち合わせですか?」
「うん、少しでも早く話聞きたいし」
私はそこまで言って彼の視線に気が付いた。
「ごめん、橋爪くん。今日は眞辺と二人で行ってくるね」
通常、クライアントとの打ち合わせは私の仕事だが、急ぎの案件や相手の要望が複雑な場合はデザイナーが同席した方が話が早い。
実のところ、私も眞辺が一緒にいてくれると心強い。
デザイナーからの新しい発想や提案はクライアントにも喜ばれるし、私もそこから話を広げられる。
もっとも、今回は相手が眞辺のデザインを望んでいるという特別な事情もあるのだが。
「あ、いえ。そんなつもりじゃ。僕なんて、まだ四葉に足を踏み入れることも出来ないですよ」
「そんなことないよ」と、笑ったところで今まで黙っていた眞辺が割って入った。
「おい、さっき言ってた打ち合わせ、早く済ますぞ」
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