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翌朝。
目覚めは悪くなかったが布団から出るのが億劫だった。
布団の中で時間が巻き戻ればいいと、現実逃避な思いを抱くが、現実は厳しい。
徐々に現実に慣れるため、首まですっぽり潜っていた布団から肩まで出した。
眞辺はまだ眠っているのか物音はしない。
直接顔は見えないが、眞辺の身体を包む羽毛布団がゆっくりと膨らんではしぼんで、彼の呼吸が伝わってくる。
見ているだけで催眠効果がありそうなその揺れから目を逸らし、私は何とかベッドから抜け出した。
眞辺が寝ている間に朝食の準備と化粧を済ませ、八時になって眞辺を起こした。
しかし、何度かキッチンから呼んだが返事がない。
私は仕方なくそばまで行って眞辺の顔を覗き込んだ。
まだすやすやと子供みたいに眠っている。
「寝てればこんなに可愛いいんだけどな……」
普段は拝むことの出来ない眞辺の寝顔をまじまじと見つめた。
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