一夜をともに

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「たいしたものじゃないけどね。さ、ご飯にするから顔洗ってきて。寝ぐせひどし」 返事の代わりにリビングから眞辺のあくびが聞こえてくる。 眞辺はしばらくして布団から出ると私の背中を 「嫁さんみたい」 と言って通り過ぎ、洗面所へ行った。 「お母さんの気分よ」 私は笑い、テーブルの上に朝食の準備を整えた。 二人で朝食を食べていると、違和感はあるもののお互いに飾る必要がないので不自然ではなかった。 ご飯とみそ汁と目玉焼きというごく平凡な食事を二人はいつもそうであるかのように小さなテーブルで向かい合って食べた。
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