一夜をともに

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「あ……今日のラッキーカラー、黄色だ」 私がそう言ったのは、目玉焼きの黄身に箸を入れた時だった。 薄い膜が破れて中からとろりと色鮮やかな黄身が溢れ出す様子を私はじっと見つめた。 「見て、綺麗だよ」 プレートを斜めにして眞辺に見せた。 濃厚な黄身の色は、少しオレンジ色がかった鮮やかな黄色だった。 「朝からそんなことでテンション上げられるって、幸せ者だな。しかもラッキーカラー、自分で決めるのかよ?」 「そうそう、自分で決めるの」 眞辺は呆れたように見せたが、どことなく口元が笑っていた。 「お前って、占いとかまじないとか信じなそうだけど、ラッキーカラーなんて意識してるのかよ?」 眞辺は自分の目玉焼きの箸を入れると、溢れ出る黄身に醤油を垂らした。
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