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「倉田さんと会うなんて、ビックリだったね」
私は小さくなっていく倉田さんの車を見つめながら眞辺に言った。
「しかも車、乗せてもらっちゃったし」
眞辺が返事をしないので私が続けて言うと、眞辺は
「いい迷惑だったけどな」
と、不満を滲ませた。
「なんで迷惑なのよ? おかげで余裕で着くじゃない」
私は腕時計を見た。
時刻は始業の三十分前。
いつもより随分余裕を持って職場に到着できる。
しかし、眞辺は相変わらずの仏頂面で
「俺は朝と帰りのこの時間に運動不足を解消してるんだよ。車に乗ったら意味ねえだろ」
と、急に早歩きになった。
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