内緒の約束

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こんな風に断りを入れて電話をする私が珍しいからだろう。 私もこの時、黙って席を外せばよかったと後悔する。 「……実家。あんまり遅いとうるさいから」 本当と嘘を織り交ぜる。 もちろん、実際に連絡するつもりはないが、もしも本当に連絡するとしたら、こんな時間にまだ仕事場にいることがバレればまたうるさい。 そのこともあって、実家にはしばらく連絡もしていなかった。 「ああ、そっか。今度の紅屋。お前の実家の近くだもんな」 偶然にも眞辺がもっともらしい解釈をしたので 「うん、一応言っておこうと思って」 と、私は休憩スペースへ向かった。
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