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「そんなこと……」
眞辺に怒られているような格好になって、
私は小さく呟いて顔を伏せた。
『ごめん』と、謝らなかったのは、眞辺の言っていること全部を納得することができなかったからだ。
自分が鈍感であることは否定できないにせよ、
仕事仲間として橋爪くんのことは多少なりともわかっているつもりだ。
彼からそんな好意を感じたことはなかったし、私から言わせてもらえば、彼は自分よりも眞辺を先輩として慕っている。
反論したいのは山々だったが、私はそのまま口をつぐんだ。
今、自分が言い返せば、車内が今より険悪なムードになるのは目に見えていたからだ。
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