栗きんとん

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眞辺の明るい声が私の沈んだ気持ちふわりと持ち上げてくれる。 私は一度上げた顔を膝の上の紙袋にゆっくりと戻し、中身を見つめながら静かな息を吐き出した。 「うちの両親ね……、特に母親なんだけど、 私のこの仕事……あまり気に入ってないの」 眞辺は前を向いたまま視線をこちらに向け、すぐにまた前を見た。 「そんな仕事辞めて夕方早く帰れる仕事に就きなさいってさ。ほら、私の友達。銀行に勤めてて、今度寿退社。母はそう言うのが理想でさ。まあ、自分がそういう生き方だったから私にも同じ道をって、押し付けてるのよ」 私はそこまで言うと、座席のシートに身体を預け上を向いて深く息を吐いた。 「私はさぁ……好きな仕事に就けたし、職場の上司や同僚にも恵まれているし、毎日遅くても一日が充実してて、達成感もあって……それなりに幸せなんだけどなぁ」
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