栗きんとん

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「逃げてなんか……」 私の声を掻き消すものなんて何もないのに 私の声はかすれて消えた。 「俺には言えねぇこと?」 「何……その言い方。私が何でも眞辺に話してるみたいに。自惚れないでよ」 「違うのかよ?」 「ホント、自意識過剰」 「お前こそ、人の親切を酷い言いようだな」 「どこが親切なのよ? 眞辺、女の人にこんな風にしつこくしない方がいいよ。人には話したくないこととかあって当然じゃん。私以外の人だったら完全に引いてるよ」 私はため息交じりに言った。 「お前以外にこんなこと聞くわけねぇだろ」 その瞬間、 車がトンネルに入り 私は耳鳴りに顔をしかめた。
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