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「な、何? それって?」
私は栗きんとんの箱を開ける手を止めた。
「何かある?」
暗くなった車内で手の中の箱を目の高さまで上げて確認する。
「それじゃねぇよ。『彼女』。お前、最近よく言うだろ」
「……そっち?」
私は箱を膝に戻した。
「別に……よく、なんて言ってないし」
「お前さ、もしかして俺のこと気になって、探りでも入れてんの?」
「そっちこそ、そういうことよく言うよね。違うに決まってるでしょ」
ただし、
探りを入れていないとは言わないけれど。
面と向かって話題にする勇気はない。
眞辺のことが気になって、ではなく、なぜか気になって……
好奇心からくるものだ。
こうやって会話をしながら、本当のところが気になっているのは事実だった。
「俺、今、女いねぇし」
眞辺は視界を明るくするためにヘッドライトをつけた。
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