栗きんとん

8/27
前へ
/27ページ
次へ
「え? いないの!?」 思わずシートから背中を離した。 「何なんだよ、その反応は」 「だって眞辺……自分でも言ってるくらいだし、モテるでしょ?」 「モテるのは仕方ねえだろ。こんなにいい男なんだから」 「出た出た」 私は呆れて腕組みをした。 「モテるのと女がいるのとは別だろ」 そう言いながらも、眞辺のような容姿の男に彼女がいないというのも、にわかに信じられなかった。 認めたくはないが、傍から見れば、いい男なのだ。 「ふーん。でも……みんなも言ってるし。彼女はいるんじゃないかって」 「みんなって、どうせ橋爪だろ? お前の気を引こうとして、アイツも必死だから」 眞辺は鼻で笑って答えた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

404人が本棚に入れています
本棚に追加