電話の女【眞辺Side】

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カウンター席のある居酒屋レストラン。 俺も初めての店だった。 馴染みの店にしなかったのは、俺のテリトリーには入れたくないという、頑なな俺の意思表示。 二人で向き合って食事となれば、俺の我慢がいつまで続くか当てにならないので、カウンターの中の店員をクッション材にしながら場を繋ぐ予定だった。 その作戦が功を奏し、何とか食事は無事に終わった。 しかし、意地悪したつもりはないが会話も盛り上がらず食事だけが進むので食事の時間はあっという間だった。 それはもちろん年齢のギャップなんかじゃない。 自分とは全く別の人種と話すときは、通訳を必要とするほどだから、 やっぱり、意味を理解するのに時間が掛かる。 ともすると、お互いの言葉を理解できてない恐れの方が大きい。 自分と合わない女といる間、 自分と合う女のことが、より鮮明に思い出された。
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