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「私、お手洗い行ってくる」
杉浦は車のドアを開けた。
「帰りにお茶買って来いよ」
俺が財布を取り出して現金を渡そうとすると、彼女は「いいよ、これくらい」と、車を降りて行ってしまった。
俺は杉浦の背中を見送りながら、スマホを手にして画面をタップした。
名前のない携帯の番号は
下四桁で誰だか判別出来る。
かつては何度かやり取りしたが、
今では一方的に掛かってくるだけ。
それももう億劫になって、しばらく電話には出ていない。
化粧品メーカーの雑誌特集の撮影で顔を合わせたモデルだった。
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