電話の女【眞辺Side】

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「お待たせ」 車のドアが開いた。 杉浦は座席に座りながら車の中を見回すように俺の様子を窺った。 「電話……ちゃんとしてくれた?」 「……いや。今は通じなかった。後でしとく」 俺が言うと、杉浦は視線を落としながら 「ちゃんと……しておいてよ。後から何か言われるの嫌だから」 と、呟いた。 「……わかってるよ」 ズルい企みを企てた本人がため息をつく。 何なんだ……俺。 すると、二人の間の空気を塗り替えるように杉浦が買ってきたお茶を差し出して言った。 「栗きんとん、食べよ?」
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