電話の女【眞辺Side】

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だからといって、 彼女は撮影には重要なモデルだ。 ぞんざいな扱いをしたつもりはない。 しかし、撮影も終盤になった頃、突然彼女が撮影したくないと言い出した。 俺のことを名指しして、 俺のせいで撮影に気乗りがしないと言った。 周りに人がいなければ、「はあ?」と、一発叫ぶところだが、 納期も迫っていて、スタジオは緊迫していた。 撮影には大勢の人間が関わり、それぞれにスケジュールを持っている。 そんな人たちの時間が無駄に過ぎていくということはあってはならない。 それに、俺個人ならともかく、 俺はアートプレイデザインの看板をしょっている。 「眞辺君、何とか……お願いできる?」 カメラマンに言われ、それを合図に撮影を仕切る広告代理店のプロデューサーが休憩を切り出した。  その時、スタジオの視線が彼女ではなく一手に俺に注がれたのは言うまでもない。 俺は心の中で舌打ちしながら【お嬢様】をスタジオの外に連れ出した。
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