電話の女【眞辺Side】

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「望月さん。俺の何が気に入らなかったのかわかりませんけど……」 「それよ、それ。みんな私のことは『梓ちゃん』って呼んでるのに、眞辺さんだけですよね? そう呼んでくれないの。それに、年下の私に敬語だし。私と距離を縮めたくないんですか?」 彼女はムスッとして腕組しながらため息を吐き出した。 俺はすぐさま頭の中で計算する。 とにかく今は撮影を続行するのが最優先で、俺がどう思われようと構わないし、そのためならしたくもないことだって簡単に出来る。 「距離を縮めたくないとか……俺と君とは仕事上の付き合いで、ちゃん付けで呼ぶほど親しくもないし、俺は誰に対してもそうしてるけど」 距離を縮める為ではないが敬語をやめ、壁にもたかって腕を組む。 「私を他の人と一緒にしないでよ」 彼女は腕をほどいて俺に詰め寄った。
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