電話の女【眞辺Side】

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普段の俺ならこのまま話し続けても、彼女の求める言葉は決して出てこないだろう。 でも、スタジオの止まった時間を進めるのが俺に課された責任なら、俺はそのためになら何でもする。 「じゃあ……この撮影が無事に終わって、納品まで完全に終わったら、食事でも行こうか?」 今、思えばこれが間違っていた。 だけど、この手の女は社会人たるものの行動や責任を話したところで、余計にこじれるのは目に見えている。 こうすることが一番手っ取り早いと思ったんだ。 案の定、彼女は「ホントに!?」と、顔色をコロッと変えて顔を近付けると白い歯を見せた。
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