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その後、それまでの空気が嘘のように撮影は順調に進み、押していた時間を巻き返して結果的には予定よりも早く終了した。
俺は自分の仕事を終えて安堵していた。
そもそもそれが俺の仕事だったのかは首を傾げたくなるが、現場に入ればイレギュラーなことがあるのは承知している。
「お疲れさま」
周りのスタッフに労いの言葉をもらって、安堵は達成感に代わる。
俺も他のスタッフ同様、事務所に戻ってすぐに別の案件に掛からなきゃならなかったので、帰り支度を始めた。
すると、みんながスタジオから出ていくのとは逆に俺に近づいてくる女が一人。
もちろん、他でもないあの女だった。
「ちゃんとやったわよ」
彼女は相変わらず腕を組んで顎を突き出す。
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