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既にスタジオには人はまばらで、事が終わっているので俺は無理に表情を作るのをやめた。
「お疲れさまです」
俺はひとまず彼女を無視して一言言った。
彼女は自分の言葉と噛み合わない俺の言葉に顔をしかめる。
「こういう時は、まずは『お疲れさま』って言うんじゃねぇの？」
「え？」
「え？ じゃねくて。社会人として常識だろ」
さっきまでとは違う俺の態度に眉をひそめて不機嫌さを露わにした。
相変わらず腕は組んだまま仁王立ち。
「先輩社会人として忠告してやっただけ。この業界だって若さと見た目だけで仕事がもらえるとは思わないからな」
「何よ？ もうあなたのとこと仕事しないわよ」
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