512人が本棚に入れています
本棚に追加
その後に生まれる沈黙は私の答えを待つ無言のプレッシャー。
それとは裏腹に優しげな視線で真っ直ぐ見据えてくる倉田さんに、戸惑わずにはいられない。
鼓動の音がうるさく身体の奥で響く。
今ここに、優香がいてくれたら私が何と、返事をすればよいか的確なアドバイスをしてくれるのだろうか。
優香……助けて。
「倉田さん。私たち、まだ会って間もないですけど……」
優香の助けを得られるわけもなく、苦し紛れにもらした言葉を遮るように倉田さんが言った。
「出会ってからの時間って、関係あるのかな? 僕はこんなに魅力的な人が近くにいるのに、待つなんてできないよ」
彼はまっすぐに私を見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!