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私たちが仕事場に戻ったのは二十時近くだった。
もちろん、フロア内は煌々と明かりがついていて、まだまだ活気づいていた。
ただ、頼れる眞辺がいない中、一人奮闘していた橋爪くんだけは、少々疲れた顔をしていた。
「橋爪くん、お疲れさま」
彼にねぎらいの言葉をかけると、徐々に気力を取り戻してきたのか顔色もよくなってきた。
「お帰りなさい。遅かったですね」
私たちとしては最短で帰ってきたつもりだが、橋爪くんは放っておかれた子供のように拗ねた口調で言った。
「バーカ。遅くないだろ」
眞辺が橋爪くんの頭を軽く小突いた。
「お前が寄り道するなって言うから、せっかく外出したのに飯も食ってねえし」
「本当に寄り道しなかったんですか?」
「そうよ。サービスエリアでトイレ休憩したくらい」
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