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「申し訳ありませんが、すぐに会社に戻らなければならなくなってしまって……」
私は戻らなければならないいきさつを彼に手短に説明した。
「そっかぁ……。それはこうしちゃいられないよね」
「本当に申し訳ありません」
四葉の仕事よりもそちらを優先するようで、気を悪くされるかもしれない。
私はもう一度頭を下げた。
「杉浦さん、そんな風に謝らないでいいよ。僕と杉浦さんの仲でしょ?」
「え?」
私は頭を上げてしまった。
私の目が彼の視線をとらえると、
「なんてね。そんな風に言ってみたくて」
と、彼は冗談めかして言った。
そして、店員を呼ぶと私の代わりに事情を説明してくれ、二人で店を出た。
「急いでるんだよね? 送るよ」
彼は店を出るなりそう言うと、遠慮する私を半ば強引に自分の車のある駐車場に連れて行った。
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