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鼓動が早まり、胸の内側で私の心を激しく揺さぶる。
「……私のハンカチ……今日はお持ちくださってますか?」
プライベートで会いたいと言ってきた、本来の目的は……
……私のハンカチを返すことだったはずだ。
以前に返すのは次回の打ち合わせの時でいいと伝えていたことを思い出し、万が一の可能性に掛けてまた時間稼ぎをしようとするズルい私。
「ごめん、今日は持ってきてないんだ。今日の予定は僕のほうも急に決めたから」
彼は後ろ髪に手をやった。
「そうですよね……すみません」
『すみません』は、時間稼ぎをしようとした浅はかな自分を謝罪したものだ。
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