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倉田さんの眼差しが私の心も身体も縛り付けるみたいだ。
彼って……
こんなにも強引な人だっただろうか。
今日の彼は今までと違う印象を私に与えた。
私が戸惑う中、彼は続けた。
「それに僕はあのとき……
眞辺さんから君の名刺をもらったときから、なんとなく、直感してたんだ」
「直感……ですか?」
以前の打合せの中で、彼から『直感を大切にしている』とは聞いた覚えがある。
「そう。この人に会ってみたい。きっと素敵な人だって」
「名刺だけでそんなこと……」
私がやっと顔を逸らして苦笑いしかけると、彼は心外とでもいうように、眉をひそめた。
「僕の直感、バカにしましたね?」
「いえ、すみません! そういう意味じゃ……」
慌てて否定すると、倉田さんは「冗談ですよ」と微笑んだ。
「僕、自分の直感に自信があるんです。名刺だけが根拠じゃないですよ。眞辺さんの口ぶりからも感じましたよ」
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