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彼は愉快そうに笑った。
だけど、何だろう。
私は笑えなかった。
彼の知ったかぶった言い方か、
生意気な笑い方か、
何かが私の気に障った。
だけど、後輩相手に目くじらを立てるほどのことではない。
私は気持ちを落ち着かせ、口を開く。
「私と眞辺の関係は、ただのトモダチとはちがうけどね」
私は笑顔を作った。
「橋爪くんにはわからないのよ」
私は軽く言って自分の席に着き、クライアントからのメールを二人より遅れて確認した。
「さすが眞辺。ほとんど修正なしだね。もうできてる? 出来てたら確認するから送って」
「了解」と、眞辺からすぐさまデーターが送られてきた。
「修正部分は橋爪にやってもらった」
「そっか。眞辺もチェックしてくれた?」
「もうしてある」
「ありがとう。橋爪くんもありがとね」
私は眞辺に言い、橋爪くんにも明るくお礼を言った。
しかし、モニターで遮られた橋爪くんの顔から笑顔が消えていたことには
気付いていなかった。
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