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「倉田さん、私……どうしたらいいのか……」
困り果てた私の声は上ずった。
気持ちが動揺して、もはや倉田さんを得意先の人間として接することができなくなっていた。
彼はそんな私の様子すら楽しむように、頬を緩ませていた。
一人余裕なんだから……。
「迷ってるなら、とりあえず僕の誘いを受けてみるっていうのはどうかな? クライアントとか、そういうことは全く抜きにして考えて」
彼の顔は先ほどまでの笑顔と変わって、真剣そのものだった。
私の心を揺さぶるのまで上手い。
そんな風に言われたら……。
「じゃあ……お食事、ご一緒させてもらってもいいですか?」
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