親友の告白

31/31
484人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「なら、行こうよ。今日は大サービスで私が焼いてあげるから」 「お前が?」 「ほら、前に、紅屋の件、受けてくれるなら何でもしてあげるって言ったじゃない?」 眞辺と焼肉に行くときは、決まって眞辺が焼きの担当で、私は口は出すが手は出さないと決めているのだが、眞辺との約束を今更ながらに思い出してこじつけた。 すると一瞬、眞辺は不服そうな顔を見せる。 「……何でもって、これかよ?」 「……そうよ。他に何かある?」 眞辺との約束を早く果たしたい私はにっこりと笑って見せる。 眞辺は少し考えてから諦めたようにため息をついた。 「……ってか、お前上手く焼けるのかよ?」 「焼くわよ」 私が意気込むと、眞辺は鼻で笑い、「じゃあ、頑張るか」と少し声色を明るくした。 「じゃあ、店、予約しとくね」 私は、早速、電話をかけに席を立った。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!