484人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、簡単に口にできる言葉ではない。
結婚するかしないかは、優香の人生を大きく変えてしまう。
自分にそんな発言が許されるのかもわからない。
優香は彼や彼の親族からも、しいては優香の親族からも責められることになるかもしれない。
もちろん、優香もそのことはよくわかっているのだろう。
だからこそ、そんなことはできないと言っているのだ。
自分の気持ちはまったく別の方向を向いているのに……。
しかし、優香は待っているのではないだろうか。
周りのことなど考えず、親友だけのことを想う私の言葉を。
こんな私の言葉にでも、
きっとすがりつきたいはずだ。
私はそれを確信し、ゆっくり口を開いた。
「優香……価値観の違いって、何かで埋めるのは難しいよ。しかも、それを優香の我慢で埋めようとするんだったら……
私、『おめでとう』って言えないよ……」
最初のコメントを投稿しよう！