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「そんなこと……」
と、言い掛けて私は眉をひそめて口をつぐんだ。
「ないって、言えないんでしょ? 思い切れないのは自分の気持ちが弱いからよ。本当に好きだったら仕事とか、得意先とか、そんなの関係なく会いたくなっちゃうと思うし、ほかのことなんてどうでもよくなるのよ」
優香は断言した。
「まだそこまで……。だって会ったばっかりだし……」
優香にきっぱりと言い切られ、私はたじろいでしまった。
すると、優香は鼻から長い息を吐き出した。
「私も……彼の方から告白されて、自分の気持ちがあやふやなまま付き合って。彼が私のことを思ってくれてるのがわかってたから、そのうち私もすごく彼のこと好きになれると思ってたの。
もちろん、好きだったよ。
だけど……結局こうなっちゃった。
何かに違和感を感じてると、自分の気持ちが……だんだん相手の気持ちに追いつかなくなるの」
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