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「私の……せい……?」
自分の顔から血の気が引いていくのがわかった。
今にも手が震えだしそうだった。
「違うよ。美尋が悪いわけじゃないんだから落ち着いて」
優香は緩く首を振りながら私を安心させるように微笑んだ。
「変な言い方してごめん。
あの日、久しぶりに会って、美尋が本当に羨ましく思えたの。好きな仕事に一生懸命で、自分に似合う綺麗な服身に着けて、一日をめいっぱい自分のために生きてる感じがした」
「だってそれは……私は一人だもん。今は付き合ってる人もいないし、結婚となったら相手に合わせることも多いだろうし……」
「それはわかってる。結婚て……綺麗ごとになるかもしれないけど、お互いを高め合うってことでしょ? 一人より……二人って思えたらそうなるんだと思うけど。……私もそうなりたかったんだけど……
今、結婚したら、
高め合うどころか……『私』って存在がなくなる気がするの」
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