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橋爪くんの意外な反応を受け、私と眞辺は顔を見合わせたが、すぐに席に着いた。
夕べは二人していつもより早く帰宅してしまったため、少しでも早く仕事を開始しなければならなかったのだ。
朝のミーティングの前までには昨日残した仕事がキリのいいところまできていた。
そのことに安堵して、わずかに気を抜くと、
ふと、夕べの眞辺とのキスの感触が鮮明によみがえる。
私は唇を固く結んで気持ちを落ち着けるように大きく鼻で深呼吸をした。
少しでも思い出すと、いろんなことを考えてしまう。
例えば……
ずっと、腑に落ちないでいること。
夕べ眞辺は、なぜあれ以上私を求めてこなかったのだろうか。
私に奉仕を強いることもなく、身体を繋げることもなく終わったあの行為。
あそこまでしたら、
……したくなるのが普通じゃないのだろうか。
そして、考えているうちに、急に不安に襲われた。
私に……女としての魅力がなかったから?
やはり、眞辺にとって私は【オヤジ】なのだろうか。
気づけば、私は大きなため息をついていた。
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