そして、土曜日。

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……誰? 同じことを思ったらしく、眞辺と目が合う。 休日のこんな時間から誰だろう。 考えつくのは、船越さんが戻ってきたことくらいだが、 そうでないことに私はいち早く気がついた。 こちらに歩いてくる足音がハイヒールのものだったからだ。 休日出勤のあり得るメンバーに、この足音と結びつく者はいなかった。 ますます、見当がつかず、眞辺と目を合わせたまま首を捻った。 とりあえず誰か確かめようと、私が立ち上がったのと同時に、パーテーションの向こうから声がした。 「お邪魔しまーす」 一瞬、時間が止まったみたいだった。 室内に響いたのは若い女性の声だった。
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