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「しっかし……。なんて言うんだろうな……お前たちみたいな関係って」
船越さんは首を傾げながら私と眞辺の顔を交互に見つめると、なんとも言えない笑みを浮かべた。
お昼の後、船越さんは14時頃まで仕事をして、家族の待つ家に一足先に帰宅した。
彼が帰った後、眞辺がおもむろに口を開いた。
「俺たち、船越さんのこと、傷つけたんじゃね?」
「傷つけた?」
「船越さん、俺たちの仲人でもやるつもりだったんじゃねえの?」
眞辺が笑って話すので、私も笑った。
その後、二人して黙ってしまったのは、きっとお互い同じことを考えていたからに違いなかった。
……私たちの関係って……
私は雑念を振り払うように首を小刻みに横に振った。
そして、二人して黙々と作業を進めた。
雑念は多いものの、そこにとらわれていては本当に仕事のほうが大変なことになりそうだった。
私も眞辺も、お互いがお互いの空気を感じ取るのは得意だった。
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