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私は深呼吸にも似た深い息を吐き出した。
眞辺のくしゃみと眞辺の言葉で集中力が途切れてしまい、
時間を確認したところでさらに落ち着かなくなった。
倉田さんとの約束……。
紅屋の案件は、眞辺がラフ案を作成したものを、私がプレゼン用にまとめるのだから、今日も二人で一緒に仕事を終えるのが通常だ。
しかし、その作業を明日に持ち越して、今日は私の方が早く帰らなければならない。
眞辺にどう断りを入れて会社を出るか、
私は今更ながら、言い訳を考えるのに必死だった。
しかし、いいアイデアも浮かばず、切り出すタイミングも計りかねていると、
突然、出入り口のドアが開く音がした。
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