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「寒い? 震えてる」
彼は私の手を握り大きな手のひらで私の手を包んだ。
「いえ、大丈夫です」
私がその手を離そうとすると、急によろめいて逆に倉田さんの腕を支えにしてしまった。
「すみません……。あれ? 酔ってるわけないのに……」
私は眉間を指で押さえ、一瞬目をつぶった。
軽いめまいがした。
倉田さんは私の異変に気づき、私の肩を抱きかかえた。
「杉浦さん、大丈夫?」
「……はい、大丈夫です。倉田さん、私、お話ししないと……」
再び襲うめまいと頭痛に私は顔をしかめながらも目を開いた。
「話って……。身体が最優先だよ。どこかで休もうか」
彼は離れようとする私の手を離さなかった。
私は再び彼から離れようと試みながら小さく笑った。
「具合が悪いのは、自業自得ですから」
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