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……言えた……。
まぶたに溜まりきらなくなった涙がポロポロとこぼれ落ちた。
眞辺は私の濡れた頬を手で拭ったが、それが拭いきれないとわかると、私の首に腕を回し、自分の胸に引き寄せた。
毛布の温かさと、眞辺の体温で
そこは、
とても、
とても
暖かかった。
「おせーよ、バーカ」
耳元で囁かれた眞辺の声は笑っているのに、震えていた。
「……ごめん。ずっと待っててくれて……ありがとう」
私がゆっくりと顔をあげると、眞辺が私を見下ろして待っていた。
そして、目が合うと口元を緩ませた。
「待ちくたびれたっつうの」
「ごめ……」
……ん。
眞辺の唇が私の言葉を飲み込む。
斜めに重なった唇は
私が待ち焦がれていた感触だった。
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