人肌

38/39
前へ
/39ページ
次へ
「あ……」 眞辺の言葉で気付かされる。 倉田さんの前では『女』になりきれなかった自分が、 眞辺の前ではいとも簡単に『女』になったのだ。 「ホントだね……」 私が言うと、眞辺はクスリと笑いながら私に顔を摺(ス)り寄せた。 「言っとくけど、俺の前だけの限定な。みんなの前では『かっこいい杉浦さん』でいろよ?」 「ええ?」と、私が笑う。 「俺の前では……」 眞辺が私の胸元で悪戯する。 私は眞辺の指先の動きに鼻から抜ける弱々しい声をもらした。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

416人が本棚に入れています
本棚に追加