私の知らない色

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「……できたね」 デザイン案を簡単なプレゼン用に編集し終えた杉浦がこの言葉をもらしたのは、 結局、午後八時を回っていた。 しかし、この時間で終われたのも、今回は橋爪のおかげだったと言わざるを得ない。 橋爪の持ち込んだデザイン案は思いのほか出来が良かった。 椅子から立ち上がって伸びをする。 「はーあ。帰れる、帰れる。飯だ、飯ー」 杉浦はこのままどこかで食事して、今日は早く自分のマンションに帰ってはどうかと提案したが、俺がそれを承知するわけがねえ。 何のために頑張ったと思ってんだよ。 俺が断ると、杉浦の方もまんざらでもなさそうだった。 杉浦の部屋で少しでものんびりしたい俺は、一度着替えなどを取りに行き、車で杉浦のマンションに向かうことにした。
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