私の知らない色

19/20
前へ
/20ページ
次へ
杉浦の目が大きく見開く。 「や、やめてよ。可愛いなんて言われるの恥ずかしいから」 「バーカ。なんて言おうと俺は言う。お前が『カッコいい杉浦さん』でいるのは会社だけ。俺の前ではカッコよくなくていいの」 「眞辺……」 「実家。一緒に行くの楽しみにしてるからな。美尋の両親にも、ちゃんと挨拶くらいはしておきたいし」 俺は結構な勇気をもって、極めて真面目な発言をしたはずだが、杉浦からは返事がない。 「……挨拶は早いか? やめといた方がいいか?」 不安になった俺が尋ねると、杉浦は目を潤ませながらゆるゆると首を振った。 「じゃあ……なんだよ?」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

458人が本棚に入れています
本棚に追加