474人が本棚に入れています
本棚に追加
「紅屋のオーナー、どんな人かな?」
乗り込んだエレベーターが動き出すと、私ははやる気持ちを抑え切れずに、これから会う人物像を思い描きながら言った。
老舗の和菓子屋のオーナー……
物静かで……仕事には厳しくて……
眞辺も想像力を働かせているのか天井を見上げている。
「どんなオヤジかって……一癖も二癖もあるオヤジに決まってるだろうけど、さすがに老舗のオーナーだな。見る目はあるってことだな?」
眞辺の言葉をすぐに理解できずに「どういうこと?」と首を傾げると眞辺が得意のあの顔をした。
「だからぁ、俺のデザインを気に入るとは、さすがだよな?」
「あ、ああ。そうだね」
やっと気づいた私に、眞辺は不服そうに唇を突き出した。
最初のコメントを投稿しよう!