私の知らない色ー2

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そして…… 私と眞辺の関係は、 この日を境に周囲に知られることになった。 みんなは、 待ち望んでいたかのように私たちのことを喜んでくれた。 今までと違う二人の関係…… しかし…… 仕事場での私たちの日常は変わらない―――。 「眞辺、準備できた?」 「もうとっくにできてるっつうの。お前待ちだろ」 「私のほうが早かったわよ」 デスクの上を慌ただしく片付け、最後にスマホを仕舞ってバッグの紐を肩に掛けた。 忙しなく準備して向かおうとしているのは中津川市にある紅屋本店だった。 あの日以降、四葉エージェンシーから紅屋に、私たちが手がけたデザイン案を確認したところ、オーナー自ら『デザイナーと直接詳細を打ち合わせたい』と申し出があったらしいのだ。 そのため、紅屋のオーナーへの直接のヒアリングが急遽実現することになり、今日がその日だった。
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