私の知らない色ー2

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私は眞辺の顔を見て、機嫌を取ろうと思ったわけではないが、眞辺の話に乗った。 「今回はデザインの評価だけじゃなくて、オーナーが眞辺の色遣いを気に入ってくれたみたいじゃない」 これは倉田さんからの情報だった。 紅屋のオーナーはデザインはもちろん、独特の色使いに感銘を受けたらしいのだ。 もちろん、それは眞辺にも伝えられた。 「さすが俺だよなー」 眞辺はその名のとおり天狗になったつもりで顎を突き上げ、鼻を天井に向けた。 「はい、はい」 私は軽くあしらうように返事をしたが、思い直して口を開いた。 「でも……それには、納得しちゃうんだよね」
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