私の知らない色ー2

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「撮れてる、撮れてる」 私は撮ったばかりのスマホの画像を見ながら何度もうなずいた。 そして、慣れた手つきでスマホを操作すると、すぐに画像を眞辺に送った。 すると、当然のことながら、すぐ隣で眞辺のスマホがメッセージを受信する。 その着信音にハッとしてスマホから顔を上げた。 自分が感動した景色やデザインを見ると、スマホで画像をおさめ、その後眞辺に送信するのは私にとっては身体に染みついている一連の動作だった。 眞辺が呆れているのか半笑いで私を見ている。 「あっ……つい癖で」 私はスマホを握りしめたまま苦笑いを浮かべた。 すると、眞辺は堪えていた笑いをもらしながら、スマホではなく空を見上げた。
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