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そして、俺たちは菓子メーカーに出向き、担当者との詳細な打ち合わせを行った。
最初の電話でデザイナーを変更して欲しいと言っていたクライアントはこの時には逆に俺に気を遣ってくれていたらしく、小さな苦笑いを浮かべていた。
それを事務所の時と同じようにその場の雰囲気を明るくしたのはもちろん杉浦さんだ。
俺はまだクライアントとの直接の打合せはほとんどしたことがないが、直に声を聞くことができて、具体的な変更案もいくつか浮かび、有意義な時間になった。
帰り道……
俺は再び杉浦さんの半歩後を歩いていた。
まっすぐに伸びた彼女の背筋は本当に頼もしく思えた。
振り返って、「頑張らなきゃね」と微笑む笑顔も俺を包むように温かい。
いっそのこと……
本当に抱きしめてくれたらいいのに……。
俺はそう呟きそうになりながら、苦笑いと一緒にため息がこぼれた。
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