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「いえ、違います。雑貨特集、橋爪さんに意見聞いてたんですけど、思わず熱くなっちゃって」
小森は俺を『橋爪さん』などと呼び、杉浦さんの前では可愛い後輩を演じた。
「いいね、いいね。意見の交換は大いにやって。あ、でも、仲よくね」
杉浦さんは俺と小森を交互に見ると、思い切り笑顔になってモニターに向かった。
「はーい」
返事をしたのは俺じゃない。
小森は幼い返事をすると、再び仕事に集中し始めた。
俺はそんな小森を改めて睨み、そして、モニターの陰から杉浦さんをちらりと見る。
綺麗になったかと言われれば……
確かに……
……これ以上、遠くへ行かないで……
「杉浦さん」
「ん? 何?」
思わず呼びかけてしまった俺は
笑顔を向ける彼女に、
もっともらしい言い訳を探すのに必死だった。
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